歯ブラシの消毒方法のウソと本当 | おすすめのお手入れ方法は?

さとう歯科口腔外科クリニックのスタッフSです。皆さんは、普段使っている歯ブラシで何かしら消毒・殺菌などのお手入れをされていますでしょうか?

歯ブラシは細菌が繁殖しやすく、イギリスの大学の調査結果によると、普段使っている歯ブラシには最大で1億個以上の細菌が付着していると言われています。細菌の多さがそのまま汚さに直結するわけではありませんが、当然お手入れしていない歯ブラシほど口腔内の清掃効果も下がり、歯ブラシ自体が汚れやすくなるので寿命も短くなります。

そこで今回は、歯ブラシのお手入れ方法としてよく挙げられる「消毒」をテーマに、やってはいけない消毒方法とおすすめの消毒方法をご紹介します。

基本的にどの歯ブラシでも考え方は同じなので、ぜひ今日から試してみてください!

やってはいけない歯ブラシの消毒方法

普段家事などをやっていると、消毒と言えばいくつかの方法が頭に浮かび上がるのではないでしょうか。とは言え、歯ブラシは口の中に入れて使うものなので、一般的な消毒方法の中には歯ブラシの消毒には適さないものもあります。以下はその代表的な例です。

熱湯や電子レンジを使った加熱での消毒

キッチン周りを中心とした効果的な消毒として知られている方法が、熱湯を使った消毒です。しかし歯ブラシのほとんどは持ち手の部分がプラスチック製のため、熱湯をかけたり電子レンジを使うと変形や変質の恐れがあります。

そもそもの話、一般的な歯ブラシの耐熱温度は80℃となっており、加熱するという使い方を想定しない作りです。その意味においても、熱による消毒は避けておいたほうが良いでしょう。

アルコールを使った消毒

新型コロナウイルスの影響もあり、家庭に1つ常備されていることも多いアルコールスプレー。用途は多彩で、「消毒」と聞いたらこのアイテムが最初に頭に浮かぶ人も多いのではないでしょうか。

しかし、口腔内から歯ブラシに移る雑菌の中には一般の消毒用アルコールが効かない種類も存在するため、逆効果とまではいかないものの効果そのものはあまり高くないと言えるでしょう。(スプレータイプを使いたいのであれば、歯ブラシ用の除菌スプレーをおすすめします)

キッチンハイターや食器用の漂白剤を使った消毒

歯ブラシを一定期間使っていると、歯ブラシの毛元に付着する食べかすや歯磨剤の洗い残しなどの汚れが目につくことがあります。

台所周りに使うキッチンハイターや食器に使う漂白剤にも除菌効果がありますが、濃度が高すぎて歯ブラシの毛の劣化や変色の原因となり、アルコールと同様に漂白剤では歯ブラシに含まれる雑菌に対して大きな効果は期待できません。くれぐれも歯ブラシには使わないようにしましょう。

そもそも消毒と殺菌、滅菌は何が違うのか

似たような言葉の意味として使われている「消毒」と「殺菌」と「滅菌」。言い回しが違うというだけでなく、実はそれぞれ言葉の意味も違います。

まず消毒ですが、こちらは”毒”素を”消”すという言葉の通り、微生物の数を減らすことで細菌に含まれる有害な物質を無害化することを指す言葉です。一方、より直接的に細菌除去のニュアンスが強くなるのが殺菌と滅菌です。殺菌は人体などへの有害性がある特定の雑菌やウィルスを死滅させることを指す言葉で、除菌とほぼ似たような意味合いです。

最後に、滅菌はすべての細菌を死滅させることを指す言葉です。よって、この中で最も細菌に対して強力な作用が働くのは「滅菌」です。一般的に、歯科医院では滅菌器と呼ばれる機械で治療に使う器具の細菌を除去しています。口の中というセンシティブな部位を診療するので、どこの歯科医院も衛生面は非常に気を配っているということですね。

歯科医院にある滅菌器(オートクレーブ)
さとう歯科口腔外科クリニックの滅菌器

ちなみに、老人ホームなどの集合施設では定期的に歯ブラシなどの衛生用品を消毒しているところも多いと聞きます。

おすすめの消毒・殺菌方法

一度使った歯ブラシを完全に滅菌することは難しいため、一般的に言われる「歯ブラシのお手入れ」というのは消毒もしくは殺菌作用を働かせるものとなります。先に非推奨の消毒方法を言及しましたが、ここからはおすすめの方法についてご紹介していきます。

紫外線による殺菌

天日干しによって布団のダニやカビを防ぐのと同じようなイメージで、日光(紫外線)を浴びせることで歯ブラシに付着した雑菌の除去効果があります。

普段使う歯ブラシは洗面所に置いておくという家庭がほとんどだと思いますが、週に1回だけでもいいので1~2時間ほど日光の当たる場所に置いておくと、殺菌効果だけでなく変色した毛を元に戻す効果があります。

イソジンやミルトンなどの消毒液を使う

コップを洗剤で洗ったのち水を入れ、うがい薬のイソジンを数滴垂らします。あとは15分ほど浸け置きしておくだけ!使ったあとのコップと浸けたあとの歯ブラシは、しっかりと水洗いしておきましょう。(哺乳瓶用消毒液のミルトンでも同じようなことができます)

食品用の重曹を使う

イソジンと同様、綺麗な状態のコップに100ml程度の水を入れ、小さじ1杯の重曹を溶かします。その中に歯ブラシをヘッドの部分が下になるように入れ、しばらく浸け置きしておきます。重曹には掃除用や薬用など幾つかの種類がありますが、人体への害がない(口に入れても大丈夫な)食品用の重曹を使うようにしましょう。

歯ブラシのお手入れの基本は、消毒・殺菌のあとの乾燥

ここまでご紹介したように、水でよく洗うことも含めて歯ブラシの消毒や殺菌には幾つかの方法があります。共通する大事な注意点として、細菌を増やさないために消毒・殺菌後はしっかりと乾燥させるようにしましょう。濡れたままの歯ブラシを放置してしまうと、雑菌が繁殖する原因となりやすいです。

ドライヤーの冷風を当てて乾かすという手段もありますが、毛を傷めるリスクを減らすために基本的には紫外線もしくは自然乾燥をおすすめします。

歯ブラシ用のUV除菌キャップを使うのも有効

歯ブラシのお手入れとして「紫外線による殺菌もおすすめ!」と前述しましたが、定期的に日光に当てるのは慣れないと忘れがちですし、面倒に思う気持ちもよく理解できます。

そのような人におすすめしたいのが、当院のスタッフも複数名使っているUV除菌ができる歯ブラシ用の除菌キャップです!

歯ブラシ用UV滅菌キャップ

プラスチック製の良くある歯ブラシキャップは、歯ブラシ同士の接触やホコリなどの汚れを防げるという利点はありますが、除菌としての作用はありません。ですがこの除菌キャップについては、

  1. キャップの蓋を開ける
  2. 歯ブラシを入れる
  3. 蓋を閉める

という簡単3ステップで、あとは3分間放置しておけばUV(紫外線)による除菌が行われます。同じ歯ブラシを長らく使っているスタッフの感想としては、UV除菌キャップを使う前後で歯ブラシの持ちが明らかに違います!

見た目もコンパクトかつかわいいデザインで、家はもちろんオフィスに置いておいても旅行先に持っていっても何ら違和感がなく、むしろ見た人からはオーラルケアへの意識が高い人として一目置かれるのではないでしょうか。

歯科医院に相談して取り寄せることもできると思いますが、歯科専売品という訳ではないのでインターネット通販の方が早く・安く購入できるでしょう。ぜひ、検討してみることをおすすめします!